サイエンスとサピエンス

気になるヒト、それに気なる科学情報の寄せ集め

恐るべし二酸化炭素の濃度上昇

 2011年の大気での二酸化炭素濃度は390ppmだったはずだ。
それが7月20日に「CO2濃度、最高値更新…WMO「驚異的増加」」とのNews
 ハワイのマウナロア山で「407.7ppm」を観測したのだ。5年間で18ppmも上昇してる!
1ppm = 0.0001%なので0.04%の濃度になる。
 通例、室内での許容濃度の目安は0.1%とされている。この数値は厚労省の「建築物環境衛生管理基準について」を参照のこと。
 この調子で上昇するならば、100年で360ppm加算されて、868ppmになることが視野に入る。
これはほとんど0.09%であり、0.1%に近い不健康な状態であると言わざるをえない。思考能力にも影響が出よう。
 あわせて、「今年は過去最も暑い年に、温暖化が予想以上に加速=国連機関」というNewsも飛び込んできた。


 もそっと数理的に議論してみよう。
USのScripps Oceanography研究所のサイトから精密な二酸化炭素濃度データを取得する。2016年7月時点で1958年3月から2016年6月までの月次データがある。季節調整済みのデータをプロットしてみる。約700か月分だ。

 いわゆるキーリング曲線状になる。
 ここで非線形のカーブ・フィッティングをしてみよう。簡単のためにというか、二次曲線をあてはめる。二次の効果がどれほど加わっているかを知りたいのだ。
 xを1958年3月からの経過月数とする二次曲線の式だ。
314.355 + 0.0655459 x + 0.0000868203 x^2

 当然ながら季節変動を除いて再現される。

 何が言いたいのか?
 二次の係数が「ゼロ」ではなく、正である。すなわち、微小ながら増大率は加速をしていることを指摘したかったのだ。二次の項がもつ効果は時間とともに大きくなる。2× 0.0000868203 ×(1958年3月からの経過月数)が二次の項の寄与になる。例えば、現時点では月に0.12ppmであり、年に1.4ppmも貢献する。50年後には月に0.22ppmとなり、年に2.6ppmにもなる。
 
 単純化して解釈するなら二次の項とは、経済成長率の効果ばかりではなく、それがもたらす人類の石油・石炭・天然ガスの消費分、ツンドラや氷河中に閉じ込められた二酸化炭素や海洋中の二酸化炭素がブスブスと放出される。温暖化とともにその分がどんどん大きくなっていることを示唆しているのだろう。シベリアで巨大な穴がいくつも発見されたが、永久凍土層が溶融してメタンが大気中に放出されたと科学者は考えている、なんてことが増えるのだ。
 願わくば、三次の項などが出現しないように!

 気温が上がって海面が上昇する。そうなると、人類の多くが居住する沿岸地帯も減少するであろう。
 カーボン系エネルギーを使いまくり、森林伐採を続ける人びとよ! 住むところも減り、息もできないとすると我らの孫はどうなるんだろう。



【参考資料】
 上の文章は西澤潤一と上野勲央の本での主張を再説したにすぎない。この本は2000年の出版だから、あと65年しか人類は生き残れないことになる。世界は15年間を無駄かつ無策に過ごしたのだ。

人類は80年で滅亡する―「CO2地獄」からの脱出

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