20世紀前半は大衆の自動車社会の到来であった。その後半はそれが先進国で成熟してゆく。
流れを先導したのがアメリカである。大衆文化のなかでクルマは存分に活躍した。
若者たちにはマイカーが自由と大人社会への約束だった。家族には娯楽と利便性の保証だった。
未来のクルマを雄弁に語ったのは、欧米の映像文化であった。
イギリスのテレビシリーズの「スーパーカー」は空をとぶ。同じプロダクションの「サンダーバード」のペネロープ号というものあるが、こいつには伝統的なボディに装備、水中翼、防弾、防放射線、金属ゴムタイヤなどが装備されていた。
※この映像はペネロープ号の大ファンのものだろう
バットマンカー(バットモービル)はゴツイし秘密基地から自走する。
これ、モビールフリークの作成だろう。コンソールパネルなど内装も映写。
極めつけに、クルマにフォーカスしたシリーズは「ナイトライダー」(1980年代)のナイト2000だ。特殊装甲のボディに人工知能を搭載した黒のトランザムはカッコよかった。
今日でもナイト2000のカスタム仕様は人気である。
http://areaten-one.com/knight2000/index.html
映画界ではどうか。
ボンドシリーズにも改造車(ボンドカー)は登場しているが、端役なので無視しよう。
1980年代に大ヒットした映画が『バックトゥーザフューチャー』である。タイムトラベルできるデロリアンも注目の未来型製品であった。こいつは実在の自動車を改造している。あいにくと時間移動制御盤をのぞいては、あまり新味がなかったのが残念。
そして未来車がまともに扱われた映画は『スピードレーサー』までなかったのだ。
そうである。オリジンであるわがマッハ号を忘れてはならない。未来車ものが弾きだされているテレビ界でマシンハヤブサと並ぶ知名度といかしたフォルムだ。アメリカでの人気はまだ底堅い。
現にリアルマッハ5号がある。買いたい方はこちらのお問い合わせを
http://www.therealmach5.com/
ややマイナーな未来車コンテンツであるのがSFだ。カーSFなる分野がひっそりと存在する。ゼラズニーのものが何と言ってもよかった。彼の小説に登場するのは、伴侶としてのクルマだ。『地獄のハイウェイ』や『異端車』など独自の性格と高い知能をもつクルマたちが縦横無尽に活躍する。
名作を集めた『世界カーSF傑作選』は忘れ難いアンソロジーである。そこにゼラズニーは2編載る。
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でもゼラズニーのSFは映画化されたことが一度もないなあ。
『スピードレーサー』が実写にまでされているのに。
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