サイエンスとサピエンス

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ギフォード講義の精神

 イギリスはスコットランドで定期的になされる「ギフォード講義」は格式の高いものだ。 グラスゴー大学エディンバラ大学、セントアンドリューズ大学、アバディーン大学の4大学の協賛で開催されており、120年もの歴史を誇る。

 自然神学について一流の学者が論を振るう。欧米の神学者宗教学者、哲学者、自然科学者、古典学者などが、ここでの講演を世に問うことで「超越者」についての問題提起をしている。積極果敢で高度な知の饗宴であり、多くの歴史的な名講演がここで披露されている。

 基底にあるのはキリスト教であるが、やはりその果敢さや問いかけの根源性については、ほんとうに見習うべきものが大いにあると感じる。
 神という超越的な対象について、人間の知を動員して挑む、真理を求めようとするその精神は素晴らしい。たとえそれが有限な知であっても、聖書で示されたような「智恵」が授けられているならば、何ほどかの真理に人は到達できるかもしれない。
 もっとも「智恵の実」を提示したのはエデンの園に侵入した蛇であるけれど。

 日本で翻訳があるものを列挙する。

ブルトマン『歴史と終末論』
ボーア『因果性と相補性』
ウィリアム・ジェームズ『宗教的経験の諸相』
アンリ・ベルクソン『人格の問題』
ルフレッド・ノース・ホワイトヘッド『過程と実在』
ブルケルト『人はなぜ神を創りだすのか』
マイケル・ポランニー「個人的知識 - 脱批判哲学をめざして」

 実は、最近のものは、YouTubeに映像がある。素晴らしい!
テリー・イーグルトンの講演である。

http://www.giffordlectures.org/browse.asp

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歴史と終末論 (1959年) (岩波現代叢書)

歴史と終末論 (1959年) (岩波現代叢書)

宗教的経験の諸相 上 (岩波文庫 青 640-2)

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過程と実在〈1〉コスモロジーへの試論

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人はなぜ神を創りだすのか

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個人的知識―脱批判哲学をめざして

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