サイエンスとサピエンス

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メタンハイドレートの処置

 日本近海にはメタンハイドレートが豊富にあり、それを採掘できるようになれば国内のエネルギー需要を1世紀は満たせる。
そんな議論がここ数年、あちこちである。
 それは、ウレシイ知らせだ。
 その一方で、「メタンハイドレートは資源ではない」という説得力のある論考もある。EPR(エネルギー収支比)が鍵になるが、メタンハイドレートに関しては、採掘にかかるエネルギーもしくは費用が大きすぎるのだ。
 考えてみればシベリア凍土地帯の地下にあるメタンはなぜ採掘されていないか。深海ではなく、地表に近いところにあるのだ。よりEPRは小さくてコストがかからないではないか?
 それは空間的に濃縮されていないからであろう。ならば深海中のメタンハイドレートについても同様なことはあり得る。
 ただし、海底における資源の分布については知らないことが多すぎるのも事実であろう。メタンハイドレートも場所によっては大規模に集中している可能性はあるかもしれない。
 つまりは、海洋におけるメタンハイドレートが使いものになるかどうかは、よくわかならないというのが、現状なのであろう。イタズラに楽観視するのも悲観視するのも時期尚早ということだ。

 ついでに、メタンハイドレート自体が地球温暖化にどのような影響を及ぼすかについても、よくわかならない。メタン自体は二酸化炭素以上の温暖化効果をもつ。大気中に大量に噴出するならば、何にもなならない。
 石油や石炭以上の危うさがある。そのような事態は放おっておいても起きかねないとするのは、西澤潤一氏らの憂慮であった。海水温度が上昇すればブロウアウト(爆出)するというのだ。こうしたメカニズムをよく調べなければならないのは確かであろう。それにしても、国は年間数十億円も十数年投じていると西澤氏が報じているが、だとすると無駄使いであるのは確かであろう。

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