サイエンスとサピエンス

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シェールガスと食糧危機

 シェールガス開発でUSのエネルギー事情は一変したという。石油の中東依存は次第に低くなる。アメリカ東部や中西部でシェールガス採掘が盛んになっているからだ。今朝(11日付)の朝日新聞でも報じていた。
 ところがその採掘プロセスで「フラッキング」という工程が必要になる。岩盤を大量の水で破砕してガスを取り出しやすくするのだが、これが論議を呼んでいる。

 地下水汚染が進行すると環境派や地元住民が噛み付いているのだ。『ガスランド』というドキュメンタリ映画で、その異議申立てを知ることができる。
 カナダのオイルサンドと同じ図式である。ちなみにカナダは世界第三位の石油輸出国だ。その製造プロセスで地元の水質が広範囲で悪化している。大量の水がないと使えない汚いガスとオイルしか、エネルギー源がないというわけだ。

 ここまでは、よくある環境問題だ。
さて、今回の北米大干ばつである。
 当然ながら、シェールガスの生産に一部支障がでている。
 【日経サイエンスの記事参照

だが、よく反省してみると我ら食料自給率4割未満の日本はアメリカの穀物依存度が高い。
その穀物は大量の地下水で生育されたりもする。干ばつで北米のオグララ帯水層など地下水保水率の減少には拍車がかかり、泣き面の蜂で水質汚染が悪化する。
 つまるところ、汚染した穀物を喰わざるをえないことになりはしまいか。エネルギーと食糧への需要が厳しいせめぎあいをする時代に突入したのだ。

 今回の大干ばつはアメリカは公的に地球温暖化の結果としている。地球温暖化は日本に大量の雨を降らせた。その分、アメリカの穀倉地帯から水を奪い、干からびさせた。
 抜本的な手を講じないと食糧もエネルギーも水もまともな供給ができない有様になりつつあるのだ。