サイエンスとサピエンス

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カリフォルニアにて進行中の干ばつ

 各種メディアが報じるように2013年1月以降カリフォルニア州は干ばつにある。
2013年の年間降水量は、1895年以降で最小と言われている。
 日光が降り注ぎ空気が乾燥して快適な土地であるのが魅力的な楽園が、3年間にもわたり異常な水不足に襲われているのである。


      「U.S. Drought Monitor」による2014年8月の干ばつステータス


 上記に示すように8月の状態は茶色=「D4」で、最悪レベルの例外的干魃となっている。


 市民生活への影響はこの州のWebが物語る。ダムの貯水量の状態、節水の呼びかけ、自然への影響、水道局の対応など盛りだくさん。
 また、ブラウン州知事のHPでもその呼びかけの最優先事項は干魃問題だ。とくに地下水の問題が気になる。今は地下水汲み上げで急場を凌いでいるが、それは有限な資源である。後代に負の遺産を回すことになるのだ。州の広域で地盤沈下が起きていることがそれを物語る。(NatinalGeographic記事「干ばつが招く地下水の枯渇]」)


 日本の気象庁のレポート「2013年1月以降の米国南西部の少雨について」が指摘するのは米国南西部の高気圧の発達とその停滞だ。つまりは、周辺海水温の高温化→恒温化である。
 そして、歴史的な乾燥期に突入したのではないかという悲観的な意見も出ている(NatinalGeographic記事「カリフォルニアに迫る気候変動の脅威」)

 教訓的かつ歴史的な事実として、北アメリカ中西部のインディアン地域社会が乾燥で崩壊した地域社会がある。
 紀元600年ころ北米のニューメキシコ州で榮えたチャコ峡谷にあったアナサジ族の事例である。12世紀ころに水環境と森林破壊の結果、その共同体は崩壊したとされる(ダイヤモンド『文明崩壊』)


 農作物など産業への影響も懸念されている。何と言ってもカリフォルニア州は大いなる食料庫である。その収量ダウンは先進国の食卓に響くだけでなく、価格上昇により後進国の飢餓につながる。
 地球温暖化はここでも暗躍しており、まことに憂慮すべきことである。




【参考資料】
 有名なベストセラー。アサンジ族の紹介は上巻にある。江戸時代が持続可能社会の例として解説されているのは日本人として記憶すべきことだろう。

文明崩壊 上: 滅亡と存続の命運を分けるもの (草思社文庫)

文明崩壊 上: 滅亡と存続の命運を分けるもの (草思社文庫)