サイエンスとサピエンス

気になるヒト、それに気なる科学情報の寄せ集め

雪で気温を平滑化せよ

 平地の常識人をして心胆を寒からしめるアイデアを!

 日本海側の大量の積雪を夏場の高温対策に使えるすべがないか?
 低コストで大都市にその冷却力を持ち込むにはどうすればよいか、須らく考えよ。

 まるで、グーグルの入社試験のようなものだが、技術立国し鉄道王国である日本に出来ない相談ではないような気もする。

 陸運的な解は鉄道での輸送だろうが、それをどのように運ぶか?
日本海側の200m程度の高度の土地から、緩やかな傾きのループ状のトンネルを掘る。
出口は太平洋側の100mの高度の土地で、大都市の近くだ。
ループ状としているのは訳がある。往路は雪で満タンの貨車を送り込み、出口で貨車から雪を取り去る。雪の自重による落下エネルギーを使う(入り口=送出口の200m高度までは運び込まなくてはならない)ので、エネルギーは低廉にできるだろう。
 トンネルの仕様が重要だ。断熱部材で壁面が構築されねばならないが、とくにその長さが重要だ。冬場から夏場までユックリと輸送する。
 例えば片道500キロを半年かけて日本海側から太平洋側の東京にやってくる。かつ、それが三ヶ月連続的に積雪を届けるような仕様だ。

 さて、どのくらいの効果をあげられるか?
あるいは摂氏1度首都圏の大気を冷やすためにはどのくらいの雪が必要か?
 簡単のために雪=氷として考える。
 1キロの氷が溶けるためには333.5kJを吸収する。水の比熱は4.186kJ/kg・Kである。1㎥の空気を一度冷却するために0.288kcalが必要だ。氷が溶けて15度の水温になるとしよう。*1

 東京圏の大きさを半径20kmで、高さ1キロの裁断球としよう。その大気をすべて1度冷やすのに必要な雪の量は、おおよそ1500万トンだ。有蓋貨車一両の搭載可能重量30トンとして、50万両となる勘定だ。
 一両が10mとして5000キロの長さとは法外かもしれない。


 この中谷宇吉郎の名著は科学的観察だけでなく、雪国の労苦も克明に記されている。

雪 (岩波文庫)

雪 (岩波文庫)

*1:15度の水がさらに都心を冷やすのだ。