「食うて産んで死ぬ」ものと明治時代の進化論者丘浅次郎は生物を定義した。
ここでの問題提起は死の動物行動学がなにゆえに無いのか? であります。
食うて産んで死ぬ生物の研究が完全になるには「死」の生物学があらねばならぬ
捕食されて他の食物となる、その行動を多くの研究者がつぶさに調べている。だが、それ以外の死、例えば「尊厳死」などはありえないのだろうか?
イルカやシャチなどで老いた個体はどういう末路を遂げるのであろう?という疑問を研究者は持たないであろうか?
というか、昔聴いたことのある「象の墓場」のような現象を知りたいというのが、個人的動機だ。どうやら象の墓場はただの伝説ということになっている。
しかし、人類のせいでアフリカの象は狭い地域に押し込められて、有史以前より過酷な環境になり、野性の生き方が喪失しているのかもしれない。先進国では管理された「死」しかなくなりつつあるのと同じ様態なのだろう。
縮小していく野性の王国では捕食されて死ぬしかないのかもしれない。
だが、そう簡単にあきらめないでもいいかもしれない。身近な例がある。多くの都会人が認識しているように、野良猫はその死骸をさらすことは稀だ。
連想するのが、イヌイットだ。イヌイットでは老人が部族の負担になったのを自覚すると自ら住居を引き払い死出の旅路につくという。こうした個体の「アポトーシス」のような行動があるかどうかに関心がある。
人以外の脊椎動物に死の儀礼を期待するのは無理があるのは承知しているのだが。
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