緒方洪庵の適塾は日本の近代医学の発祥の地と言っても過言ではないだろう。洪庵は蘭学に秀でていただけではない。漢方も学び、両方のよいところを持って施療していた。
種痘も独力で進めるなど民衆に対する疫学対策をも進めていた。つまり、先端研究と民衆への施療を同時に行いつつ、医者の卵を養成するという一人三役をこなしていた。
「医は仁術」を地で行く、それが緒方洪庵だった。まことに頭の下がる大人物である。
手塚治虫が緒方洪庵と自分の祖父である手塚良仙を描きこんだ作品を残している。
『陽だまりの樹』全11巻である。
幕末の江戸と大阪を描いた大河漫画だ。
思うに、手塚は学問の発祥の地、近代医学の濫觴としての適塾を知ってもらいたくて、この作品を残したのかもしれない。銭金だけではない、知識や人情の関西人の心意気を知らしめたかったのだろう。それだけの力のこもった作品ではある。
その緒方洪庵の伝統を引いた緒方医学化学研究所は、先月解散してしまった。
http://www.ogataken.net/
適塾は、今も大阪の地に当時のままに残る。大阪人の誇りだ。
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