サイエンスとサピエンス

気になるヒト、それに気なる科学情報の寄せ集め

人脈の科学者の血脈

社会ネットワーク分析という分野があって、グラフ理論やランダム行列など駆使して、人の関係を数理的に解明していた。
 SNSの実データなどで十年前くらいから細々というわけでもないが、それなりの研究成果をあげてきた。まあ、しかし、その結果は「So What?
膨大な人のコミュニケーション関係を可視化して、ミルグラムの連鎖だかハブになるキーマンが重要だとか指摘しても、さてそれをどう社会連帯の強化に生かすか、ビジネスにするかというと次の一歩が見えないでいた(という個人的見解)
 昨今事情はかなり様相が変わりだしてきている。ビッグデータもそうした動きを後押ししているのだが、何より社会ネットワーク分析が練れてきたようにも思える。
 二つの著作、斯界の権威の安田雪氏による啓発書を比較してもうかがえる。

『ネットワーク分析』(1997)と『人脈づくりの科学』(2004)だ。
 ※ワンピースによる啓蒙本もあるが除外しよう。

 前者はガリガリ理論武装の書である。分析方法とアメリカの検証事例のスケルトン本であり、後者はビジネスマン向けにかなり実践的に噛み砕かれた訓示本だ。
 著者の社会的経験が理論に重ねあわされている『人脈づくりの科学』は自分的にはお勧めである。

 ここでその内容を紹介するのは避ける。別の「人脈」が示唆されたことをレポートする。
 安田三郎氏という1925年生まれの数理社会学者がいた(1990年薨去)。 思うに安田雪氏はその肉親(娘さん)なのではないかという推測である(googleでは裏づけできなかった。wikiにもないようである)
姓名もさることながら、研究分野の隣接性と年代の差がその根拠の最たるもの。

ネットワーク分析―何が行為を決定するか (ワードマップ)

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人脈づくりの科学 「人と人との関係」に隠された力を探る

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