サイエンスとサピエンス

気になるヒト、それに気なる科学情報の寄せ集め

ヒトの低体温化と地球温暖化

 体温が子どもを中心に低下傾向である。日本人の体温は35度程度になってきたという。
異常に下がるのはHypothermia ハイポサーミアというれっきとした病気になるが、そこまで行かずとも長期的に体温が低下するのは先進国共通のようだ。

 熱力学的にいうと外気温と(熱機関としての)人の体温差が減少することは、熱による仕事効率が低下することを意味する。ヒートポンプとしての人体の熱発散がうまくいかなくなる。
 夏場の熱中症の増大ということも低体温化(vs温暖化)と関係があるやもしれない。

 とくに排熱が上手くいかなくなると脳の機能に影響がでるだろう。そう言えば、古代ギリシアアリストテレスは偉大な生物観察者でもあったが、脳を発熱装置と解釈していた。まあ、たしかにアリストテレスほど脳をフル回転させていれば発熱量も無視できないくらいだったろう。

 アメリカの気候学者ハンティントンの『気候と文明』なる怪著がある。白人優越主義がギラギラする文明論だ。歴史の環境決定論優生学思想が混在一体になっている。
 しかし、彼の指摘するように温帯に五大文明が分布しているのは確かだろうし、いまでも先進国は温帯に群がっている。暑すぎず寒すぎずというのは頭脳労働と肉体労働のためになるのは常識的であろう。

 いずれにせよ体温と外気温との差がなくなってくることの影響を客観的かつ生理学的に考察した研究がないのは問題だろう。自分が当て推量で臆断するには重要すぎる問題だと思う。