サイエンスとサピエンス

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マグネシウム電池開発

 充放電できる二次電池ではないけれど、新しいタイプの一次電池として「マグネシウム電池」が脚光を浴びている。イオン化傾向の乖離が大きいものを正極と負極に選ぶのが原則である。
金属のイオン化傾向はリチウムを筆頭に金までが並んでいる。イオン化傾向を大きい方が負極、小さい方が正極に選ぶのが基本だが、常温での安定性=化学反応が扱いにくとか希少性=経済性なので組み合わせは決まってくる。

   (Li, K, Ca, Na) > Mg > (Al, Zn, Fe) > (Ni, Sn, Pb) > (H2, Cu) > (Hg, Ag) > (Pt, Au)

負極にはリチウムや亜鉛、鉄、カドミウムなの化合物が多く採用されてきており、正極には鉄、銅、マンガンや鉛などが一般的だった。
 マグネシウム電池では正極にマグネシウム、負極に空気中の酸素を採用するものだ。
 ところで、マグネシウムはなぜ採用されなかったのか。酸化被膜が原因である。被膜形成により短時間でマグネシウムがイオン化できなくなってしまう。
しかし、2012年に東北大の小濱泰昭チームは難燃性マグネシウム合金を海水に浸すだけで長時間の電力供給が可能なことを発見。
 その後、実用化(正極の効率化が大電流発生に向けてのハードル)に動きが継続中であるという。二次電池化に向けても研究は進行中だという。
マグネシウム電池開発は日本が先行しているのは英語版Wikipediaの同項の引用元が日本発なのをみても歴然としいる。

 空気と食塩水、それにマグネシウムという豊富で手頃な物質で安定した電力社会が実現するかもしれない。
日本がそれに貢献できれば、LEDにつづいて人類社会からの栄誉が増えるだろう。

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 平成23年版の理科の参考書「自由自在」ではイオン化傾向は下記である。
Na>Mg>Al>Zn>Fe>Ni>Sn>Pb>(H)>Cu>Hg>Ag>Au

自由自在中学理科―1分野・2分野

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 主にリチウムイオン電池をめぐる競争の物語り。

バッテリーウォーズ 次世代電池開発競争の最前線

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 はやくも市場に投入された古河電気工業マグネシウム空気電池!