サイエンスとサピエンス

気になるヒト、それに気なる科学情報の寄せ集め

電気自動車と自動運転技術の相克

 ガソリンやディーゼルエンジンなど内燃機関からモーターへと自動車の次世代シフトが始まっている。水素に頼る燃料電池自動車はしばらくお預けであろう。また、ハイブリッド(内燃機関二次電池)も主流にはなりそうでなれない。

 尚かつ、自動運転技術がAIとととも脚光を浴びている。歩行者衝突を予防するプリクラッシュセーフティシステムや他車への追従走行やハイウェイでの手放し運転のACCSなどが身近になっている。電子電気部品がクルマに多数搭載されてきているということだ。
 プリクラッシュセーフティシステムは可視光カメラやレーダーなどで外部環境を補足しマイコンチップが歩行者の画像抽出や運動方向の検出する。そしてブレーキシステムを路面摩擦や車速に応じて制御して安定的に停車させるわけだ。
歩行者を正確に捉えるためにはなるたけ遠くから、その動きを検知しなくてはならない。飛び出しなどを予測できなくては運転者の補助にはならない。
 つまりは、高度なセンサーを複数持ち、高速処理できるマイクロプロセッサーを備え、複数のアクチュエータをうまいこと制御しなくてはならない。
また、高機能な運転制御をするためには車載ネットワークでこれらの電子デバイスの情報を高速でやり取りしなくてはならない。

 言い換えると多数の電気電子部品が電力を要求するようになってきている。現在100種以上のマイコンチップがテスラの高級車などには搭載されているのだ。
スマホと同様な事態が進行していると言えなくもない。限られた電池容量を常時、これらの電子電気部品が消費するのだ。スマホはマルチコアのプロセッサーを一つ積んで、センサーといえばカメラやマイクがそれぞれ二つ程度それにモーションセンサーやGPSくらいだろうか。アクチュエータに関して言えばタッチパネル(これはセンサー兼用)画面とスピーカーでおしまいとなる。これらがリチウムイオン二次電池から電力供給されている。
継続使用時間をめぐってせめぎあいがある。その点で電気自動車と同じなのだろう。
だが、所詮、電子部品点数には限りがある。これ以上増えないのではないか。

 電気自動車の本命は移動である。一回の充電で持続的に長距離を走ることが最大眼目であるのはいうまでもない。自動運転技術は付加価値でしかないが、どうやらそれが自動車の進化の本流になっているようだ。
 二次電池の性能は飛躍的な伸びが最近ないと思っている(それなりにメディアには目を通しているが個人的な感想でしかないのは言っておく)
つまりは、航続距離と自動運転の進化は重大なジレンマに立たされているのだ。それに輪をかけるのが真夏日の増加、平均気温の上昇だ。エアコンの使用が電力を逼迫させるわけだ。車内やエンジンルームは電子部品の発生する熱でますます暑くなる。マイコンチップの冷却処理を行う必要もあるし、モーターの電磁石は熱でへたる傾向もある。
 ついでに言えば、気温の上昇は電子部品の劣化を加速すること(アーレニウスの法則)も思い出してほしい。

 というわけで温暖化効果が電気自動車の性能へ思わぬ影響を与えるのは事実だろう。