サイエンスとサピエンス

気になるヒト、それに気なる科学情報の寄せ集め

死因が類似な国家グループ

 昨日のブログを続けてみます。目出度くないのではありますが、お題は【国別死因の統計】でした。
 死因構成比が似ている国をグルーピングしてみます。何が分かるでしょう?
クラスター分析を規格化した死因別死者数(10万人)に適用する。数値間のユークリッド距離の近さでグルーピングする、とてもシンプルなやりかたです。

 何も手を加えずに5つのグループに自動的に分かたれました。

 予想だにしなかったのですが、日本はイスラエル、韓国、カナダ、チリ、英国、アイスランドアイルランド、オランダ、ノルウェイ、ベルギー、デンマーク、フランスなどと同じ系統に分類されたのです。共通項は「がん」と「循環器系」が男女ともに主要なファクターとなっていることでしょう。地理的にも経済状態としても異質な国に感じているオーストラリアやイスラエル、チリもそうなのです。地理的には大陸の周縁や島の国を多く含んでいるようです。
 これらは、おそらく医療が発達して高齢化が進んでいるグループなのでしょうか?
このグループの死因構成比は下図となります。

 ここでの色の並びは、男×( 結核 HIV 悪性新生物 循環器系の疾患/脳血管疾患 呼吸器系の疾患 消化器系の疾患 交通事故 その他の不慮の事故 自殺,自傷 )
女×( 結核 HIV 悪性新生物 循環器系の疾患/脳血管疾患 呼吸器系の疾患 消化器系の疾患 交通事故 その他の不慮の事故 自殺,自傷)となります。

 ロシア、ウクライナブルガリアラトビアリトアニアルーマニアは予想通り、ワースト・グループにカテゴライズされました。男性の循環器系、女性の呼吸器系の死因が多いのが共通のようです。全体に健康状態がかなり悲惨な状況にあると推測します。


 また、ギリシアチェコハンガリーポーランドというヨーロッパの4カ国の東側のグループができたのは肯けます。しかし、ロシアのグループと似たような構成になっているようです。


メキシコ、アルゼンチン、ベネゼエラ、モーリシャスの4カ国グループもあります。南国の中進国グループなのでしょう。悪性新生物は少なめですが、消化器系とその他的なHIVが多めです。



 アメリカ合衆国やドイツ、スイス、フィンランドなどを含む残りの国々が5つ目のグループとなりました。

 機械的かつ統計的な判定結果ですが、4ヶ国の小数グループは地理的近縁にある傾向が出てます。アメリカ合衆国を含むグループと日本を含むグループが大きな集合です。
 日本の属するグループの国々はお互い似ているかどうかは意見の別れるところです。


寿命の数理 (行動計量学シリーズ)

寿命の数理 (行動計量学シリーズ)

 この古川先生の労作は座右の書です。人やものの寿命について、幅広く情報を束ねた本で、類書はあまりないです。この本では国家の社会指標と平均寿命の関係を深く追求しています。平均寿命を説明する社会指標として、「発電量」「テレビ台数」「電話機台数」がよくマッチするとしています。