サイエンスとサピエンス

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天体観測の未来史学の方法論:レジメ

 覚え書きであります。
バビロニアの時代から人類は宇宙に目を向け、観測結果を記録してまいりました。
20世紀になると観測機械を大気圏外に打ち上げ、さらには太陽系内の惑星にまでそれらを到達させるほどになります。
 「宇宙観測」は順調に推移してきていると思われます。それが明らかにしてきているのは、N.コルダ−が「ヴァイオレント・ユニバース」と名付けたような荒々しい宇宙像、太陽系像です。
 他方、有人宇宙船も盛んに打ち上げ、1960年代には月に到達します。ところが前のブログ「人類は宇宙進出を果たせるか」で論じたように、さらなる遠隔地への有人旅行は50年間滞ります。停滞の半世紀と後世に呼ぶことになるでしょう。

 こうした推移を慎重に記録し、その発展と停滞を技術経済学的に論じることで、今後の「宇宙開発」「宇宙観測」がどうなるかは、確実に予想できると考えられます。
「宇宙観測」の拡大は精密機器と半導体の進歩が後支えしました。そのインペトスはしばらく継続すると思います。どこまで継続するかはデータを集めて論じることができるでしょう。


 これは土星の衛星の発見の時系列です。縦軸は衛星のサイズ、横軸は西暦であります。

ついで木星です。ガリレオの4衛星は左上です(ある筈ですが古くてはみ出てます)

発見の大きさとインパクトは次第に小さなものなってゆくし、それにともなう技術の進歩がなければなりません。
 この発見年表からだけでも、2000年にあったブレークスルーによるものであるのが分かります。太陽系の天体についてはこうした発見の時系列とその要因を紐解くことで、未来史を紡ぎ出せることでしょう。今後、百年にどこまで観測の範囲と情報収集の精緻さが得られるか。そして、そのための予算が概ねはじき出せるでしょう。その経済波及効果も当然勘定にいれることが肝要です。

有人の「宇宙開発」はどうして停滞したか原因を明確することが大きなテーマです。

 実際に松井孝典先生の『惑星科学入門』などは、太陽系内の天体発見の史的構造を意識してまとめています。つまりは過去を顧みてこれからの行く手を論じるだけのファクトが蓄積されたのが21世紀の現時点ではないかと推察するのであります。

惑星科学入門 (講談社学術文庫)

惑星科学入門 (講談社学術文庫)

宇宙に好奇心あるもののテーマ音楽 by Monty Python