サイエンスとサピエンス

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ヒース卿のギリシア数学史

 トーマス・ヒース(1861-1941)というとギリシア数学史を紐解いた人なら泣く子も黙るという英国の泰斗です。
 早い話、彼の校閲したエウクレイデスの幾何学原本、アルキメデスやらアリスタルコスやらディオファントスの後にはペンペン草も生えないようです。後続する研究者は恩恵を受けつつ、次に何をやればいいか迷うくらいでしょうね。

 なものなので、遥か後代に伊東俊太郎のような英才が留学後に現したギリシア数学の本『ギリシア人の数学』では、サボーの新説が大々的に取り上げられていました。
この新説がなければ気息奄々の状況でしたろう。ギリシア数学の原典はほとんどくまなく査読されてましたらからねえ。
 それにしてもサボーは華々しかった。

トーマス・ヒースの凄さは公務員でありながら、古典数学の決定打をぞくぞく送り出したことでしょう。英国人ジョンブルの粘り強さがあります。
 王立アカデミのフェローに選出されたのは当然といえます。

 自分が関心があるのはMathematics in Aristotle (Oxford: Clarendon Press, 1949)
 ヒース卿は、アリストテレスの数学という目新しくも不可解なテーマを晩年にものしているのです。

 残念ながら縮約版のみが本邦に紹介されている。さりとて貴重な書籍ではある。

復刻版 ギリシア数学史

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T.L.ヒース 「サモスのアリスタルコス」原著



ヒース ディオファントスの代数(原著英語版)