サイエンスとサピエンス

気になるヒト、それに気なる科学情報の寄せ集め

特異点による環境問題の解決

 特異点とは技術的シンギュラリティのこと。地球で支配的な種である人類は、どうやら自律性と持続性を喪失してきており、このままだと地球まるごと熱的死を迎える可能性が高い。
 そうなるとデウス・エクス・マキナではないが、外部からの介入により熱死を回避する方策しかなくなる。それを技術的シンギュラリティに期待する向きがある。

 では、それがどこに出現しそうかというと、ネット=インターネットだろう。
 現在、世界のwebサーバは推定で3億台があり、それらがインターネットに接続されている。仮想化されて擬似的に一台の巨大なコンピュータと見なす技術も発展し、クラウド化で巨大なデータセンター(5万台以上のサーバー集約)も数百以上となった。*1
 それに加えて、スマホのインターネットに接続されたコンピュータとみなせるだろう。個人法人のPCもワイヤードであろう。

 これらのサーバー、スマホ、PCをニューロンと比較することで、オーダー的には人の脳以上の記憶容量、情報処理能力と収集力をインターネット=デウス・エクス・マキナが持ってしまっていることは確かだ。組み込みシステムもまたインターネットに接続しつつあり、そうなると機械を直接の制御することにもなる。ちなみに人間の脳のニューロン数は数百億とされる。
 そこに「超知性」が発生する可能性は皆無とはいえない。仮にそうした技術的シンギュラリティが生じたとしよう。
 人類をどう扱うであろうか?
 自己保存能は超知性に備わるであろうから、地球丸ごと熱死を避けるために手を打つであろう。
 なぜか?
データセンターにおいても、あるいはコンピュータにとって、熱は大敵であるからだ。
冷却がその機能維持に必須となるのだ。
 また、人類の生存の維持はエネルギー供給ということから必須と判断されると見込まれよう。
 よってだ、超知性は人類のマクロ経済に介入すると予想できる。経済活動と食糧そしてエネルギー問題に対して、思いもかけない干渉をしてくるであろう。
 まさに持続可能であるためにはそれが必要だ。ただし、人類は忠僕として存続を許されるのであり、主役は超知性ということになりかねないのであるけれど。
 「それ」は、もう宿っているかもしれない

【参考書】
最近の出色のSFである本書で一つの可能性が提出された。

シンギュラリティ・スカイ (ハヤカワ文庫SF)

シンギュラリティ・スカイ (ハヤカワ文庫SF)

クラウド化の文明論的含意を知っておこう。

図解 クラウド早わかり

図解 クラウド早わかり

クラークがシンギュラリティの創唱者の一人といえよう。

オメガポイントは超知性に置き換わるのだ。聖書も書き換えられるか。

現象としての人間 [新版]

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*1:日本だけでもデータセンターサービスをする企業は百社以上だ。