サイエンスとサピエンス

気になるヒト、それに気なる科学情報の寄せ集め

イプシロンのジレンマ

 新開発の小型低価格ロケット「イプシロン」。
その打ち上げに感服した一人である。リアルタイムでその場に居合わせた感を持てたのは言い知れない躍動感を与えた。

 早速に新興諸国に、その売り込みが始まる。
 その憂慮がここでの主題だ。
 狭い地球の周回軌道上に山ほど小型衛星が飛び回る。そんなユーウツなスペース・デブリだらけの風景は、ある大量生産品を連想させる。
 自動車だ。いまや新興国を含めてマイカーが拡散を始めた。しかも燃費の良いコンパクトサイズのクルマがだ。
 低価格で効率性が高いと収用逓増し、それがバンドワゴン効果を招くのではないか?
 エネルギーの蕩尽と地球温暖化を低価格性が引き起こす。魔法使いの弟子というわけだ。その呪文はシューマッハの「モール・イズ・ビューティフル」だ。

 「スモール・イズ・ビューティフル」は悪魔の囁きだ。それを唱導し、商道にする日本という国は「動物化されたポストモダン」の先走りを担うわけだ。