サイエンスとサピエンス

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汚染物質の国家的濃縮

 ここ数年来、中国の大気汚染は深刻な状況である。典型がPM2.5だ。隣接する国、韓国や日本などは戦々恐々としている。皮肉なことに大気が比較的清浄なのは飢餓に悩む貧困国家北朝鮮だということだ。
 だが、観点をかえると中国は加害者であると同時に被害者かもしれない。

 エントロピーということばを単純化して、閉じた経済=生態系においては無秩序さは増大するという意味で使ってみよう。
 かつてのエントロピー経済学の名残りだ。
 汚染物質は人類にとってはエントロピーの大きな物質である。先進国は自国の汚染物質を経済対価として工場とともに中国に移転した。価格の安い製品というのは汚染物質処理のコストを含まない、そんな手抜きの製品である。
 先進国、いや全世界は中国にそうした工場を集約させて、安い製品を続々と自分のところに供給するように図った結果、中国はエントロピー増大を一手に引き受けているのだ。中国自ら望んだ政策の結果とばかり、断言できるだろうか?
 先進国や他の国々は汚染物質の国家的濃縮を行ったのだ。中国は経済成長の代償であるとともに、他国の汚染物質を請け負うビジネスを一手に引き受けたのだ。それは自明の理だ。

 エントロピー増大なしに先進国になる経路は無い。中国民族のマナーの悪さ、治安の悪さ、衛生状態の悪さ、どれもこれもエントロピー増大を示している。これも他国のエントロピーを担ったといえよう。日本も高度成長期の観光は海外の不評を買った時期がある。
 中国は膨大な人口を抱えながら、その豊かさへの欲望は満たされるどころか格差増大となる一方だ。人民の怨嗟は拡大する一方だ。
 中国人民の地獄の門は開かれた。悪臭と悪食、悪習に中国と他国は悩まされんとしている。それを自業自得として、対岸の火事視していると日本も大きなとばっちりを受けるだろう。日本もエントロピーを押し付けた国なのだし。