サイエンスとサピエンス

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ある夢想 コンピュータとのコミュニケーションとしての人工言語

 本日のたわいない夢想である。しかし、人類の情報系進化に関するアイデアの元ネタでもある。テーマは「コンピュータとのコミュニケーションとしての人工言語」だ。
 コンピュータに直接、人間の要望/要求を伝える手法といっても「SIRI」のような音声認識人工知能(本来はコグニティブ・コンピューティングというらしいが)によるものではない。
 ヒントは、エスペラント語で育てらいている人たちが少数ながら存在すること。エスペラントポーランドザメンホフによる人工言語だ。
 そして、人工言語でも子は育つことだ。

 そこで提案なのであるけれど自然言語とコンピュータ言語を合成した人工言語エスペラント2.0と呼ぶかな)をもって子どもを教育したらどうであろうか?
 それらの世代こそがコンピュータ視点からも人間視点からも考えることができる、コトバの本来の意味での「デジタル言語ネーティブ」になるのではないか?

 そのエスペラント2.0の使われる場面はいかなるものなのだろう?
思いつくのは、痒いところまで手の届くような情報処理が即座にかつ大量に実現できることだろう。
 面白くもない例だが、業務処理のためにシステムエンジニアは大量の設計ドキュメントを義務付けられる。それがクライアントの要求通りに業務処理をそつなくand間違いなくこなすことの保証であり説明であるから。それは関係者への説明と保証であり、コンピュータへのプログラミングの前処理でもある。
 エスペラント2.0ができる世代にはこのような煩雑な作業は不要に等しくなる。彼ら(デジタル言語ネーティブ)の会話の記録(ステークホルダー同士の合意に至る打合せ)があれば、要求定義と設計と検証、コーディングがすべて含まれるからである。もちろん、エスペラント2.0での会話が前提だ。
 彼ら=デジタル言語ネーティブが相互に合意すればそれはそのまま業務処理が実装されることになるのだ。
 いかなる情報処理業務も、いや先進分野の研究さえも格段にスピードアップするだろう。天才プログラマーですら及びもつかないデジタル思考様式を実装したのが彼ら(デジタル言語ネーティブ)なのだ。
 そうしたアドバンテージがある人工言語エスペラント2.0のひな形はあるのだろうか?
 自然言語に対する音声認識はコンピュータによる生活補助にすぎないのだ。

音声認識」も一つの方向であろうが、しかし、コンピュータからみれば不自然な指示や曖昧な表現がともなう。自然言語を理解させるのは、コンピュータという論理機械からすると隔靴掻痒なのではないあろうか。

 かのダーウィンによれば、言語能力とは「技術を獲得しようとする本能的傾向」だ。とするならば、直接的なコンピュータ言語を組み込んだ人工言語は、おそらく次世代の人類の進化の方向とマッチしていると考えてもいいだろう。


【参考資料】

 草薙裕による第5世代コンピュータの遺産の解説。

自然言語とコンピュータ言語

自然言語とコンピュータ言語

 MITの恐るべきピンカー本の一つ。言語の生成本能を解説している。

言語を生みだす本能(上) (NHKブックス)

言語を生みだす本能(上) (NHKブックス)

 本日のヒントを提供してくれた変わり種の言語の本。

言語的近代を超えて (明石ライブラリー)

言語的近代を超えて (明石ライブラリー)