サイエンスとサピエンス

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世界のスマホの発熱量のフェルミ推定

スマホのCPUの出す熱量を推定してみよう。
CMOSのトランジタのコンデンサー容量Cからスタートする。
Cは5フェムトファラッド=5☓10^-15 Faradとしておく。加圧電圧V=5ボルト。
1ビットをCMOSトランジスタに蓄えるには、蓄えたエネルギーをグラウンドに捨てなくてはならない。
 CV^2 という「わけだ。コンデンサーのエネルギーをダブルカウントするのだ。

N個のトランジタがCPUにあり、fクロック周波数=1GHz=10^9 /sで動作するものとしよう。

 NCV^2f=N 6.25☓10^-7 Jule/s

最近のチップは10億個のオーダーのトランジタを積んでいる。N=1☓10^9個としよう。
 かくて、スマホの熱発生率は 6.25☓10^4 Jule/s程度になろう。

世界で一年に売れるスマホは3億台とかいう。これまでの累計で10億台のスマホが稼働しているというのは控えめな推定だろう。 そうはいっても休んでいるスマホや使っていな時間もあろうから、オーダー的には妥当だろう。

 6.25☓10^13 Jule/s となるわけだ。

 実はコンピュータと称するものも同じような見積が成立するだろう。世界の稼働中のコンピュータは100億台としてみよう。簡単のためにスマホを含めてしまう。
 そうすると上記の値の10倍になるだけだ。
  6.25☓10^14 Jule/s

 CPUだけが発熱しているわけではない。画像処理や各種インタフェース、バッテリー自体も発熱している。デスクトップ型になると冷却装置があり、これも差し引きでいえば熱源だ。電源に含まれるコンバータも熱を出す。
 情報処理、通信機器は大いなる熱源であるということを確認したわけだ。スマホはそれをより街角なり野山に拡散させるのに貢献している。皮肉るとあちらこちらで熱拡散に役立ってくれているのだ。