サイエンスとサピエンス

気になるヒト、それに気なる科学情報の寄せ集め

理研の温故知新

 昨年末のニュースである。それを寿ぐことから開始しよう。新元素の命名権理研が獲得したことは、日本の栄誉である。
 一昨年は小保方氏の研究「成果」が「STAP細胞はあります」の迷言とともに理研の名前を世に轟かせた。

 実は小保方氏よりもっと大物が大ゴケ研究を鳴り物入りで発表したことを、理研はそうした前科があることを思い出しておきたい。

 1924年の長岡半太郎の「錬金術実験」である。あの原子の土星型モデルで科学史に名を残した偉人の一人が、大ゴケを大々的にやってのけたのだ。「水銀還金」の研究は理研から発表されたのだ。
 だからといって、永遠の笑い草にしようというわけではない。先駆的な研究には誤ちがつきものであり、長岡半太郎ほどの大物ですら、どでかい誤ちをしたということだ。小保方氏レベルの研究ミス(おそらく本人は真面目にSTAP細胞を信じていたのであろう)はいつまでもいつまでも引きずるほどの事件ではない。理研の大先輩である長岡半太郎のエラーと比較すればどうということもない。

 朝永振一郎理研を「楽園」と言っていた。

科学者の自由な楽園 (岩波文庫)

科学者の自由な楽園 (岩波文庫)

 理研の歴史の手頃な書籍。ちなみに田中角栄理研に育てられた。リコーも理研と関係がある。