生物の分類で、ついこないだまで定説であったのが「五界」説。
動物界、植物界、菌界、原生生物界、原核生物界(大腸菌やメタン生成菌などのバクテリア)から構成されているという学説で、ロバート・ホイタッカーとリン・マーギュリスにより基盤が据えられた。
リン・マーギュリスはミトコンドリア共生説の提唱者であり、20世紀後半における最大の生物学者の一人であった(2011年物故)
1990年カール・ウーズにより提出されたのが、三ドメイン説だ。動物界、植物界、菌界、原生生物界の4つを「真核生物」とひとくくりにして、原核生物界を古細菌(アーキア)と最近(バクテリア)の2つのドメインにわけるのだ。
この三ドメイン説も「巨大ウイルス」の登場により揺らぎだしている。2003年のミミウイルス発見以降、メガウイルス、マルセイユウイルス、パンドラウイルスなど常識破りのサイズのウイルスが発見されだしている。
これに勢いづいて一部のウイルス学者たちは、生物から除外されていたウイルスを第四ドメインとして登録しようとしている。通例は生物学者たちはウイルスを生物とは見なしていないのだ。
狂牛病のプリオンタンパクもそうなると生物の片割れとみなすべきなのかもしれない。生物と無生物の境界までが揺らぎだしているのは、まことにポストモダン的ではないか!
【参考資料】
ウイルス学の最先端を伝える手頃な近著
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