サイエンスとサピエンス

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コロナウイルスが加速した大国の人口の転換点

 アメリカと中国と2021年人口が公表されている。両方とも歴史的な数字となった。

昨年7月の数値でアメリカの人口増加率は0.1%だったというのがJETROの記事だ。

www.jetro.go.jp

 

 過去最低の数字という文章が躍る。

一方、アメリカをどんどん追い上げていくはずの中国も変調していることが判明した。

mainichi.jp

 

 中身の純粋な人口増はたった48万人だったというのが、ふたを開けた結果だ。

2017年の出生数は1723万人だったが、2021年はなんと1062万人になったのだ。

 両大国にとってはこれは由々しきことだろう。経済成長の柱である人口オーナスがうさん霧消してしまいそうなのだ。

 今年に入ってからのアメリカの株式市場の動きもこの数字と無縁ではないだろう。

 コロナ対策においても両国はどうやら失敗したということになりそうだ。アメリカの感染者と死者の爆発的増大はひどいものだった。確かにワクチン接種開始は早かった。ただ、後がいけない。アンチワクチン派が半数を占める国の自由とはこんなものだったわけである。この個人の自由意識は銃社会であることと無縁ではないだろう。

 危機の時代には若いリーダーが現れて、見事な統率力を発揮したのがアメリカだったはずだが、十分老人のトランプ大統領の後が80歳のもっと高齢者しか適任がいなかった。そこにアメリカの重篤な病理的症状があるのだと思う。

 それにひきかえ、中国のゼロコロナ対策は見事なものだった。巨大都市をロックダウンして感染者を徹底除去する統制力のすごさを見せつけた。欧米などの先進国はあっけにとられたものだった。

 少なくとも2021年の途中までは。

だが、オミクロン株など感染力が強い変異が現れ、いつまでゼロコロナを続けるのか不透明だ。冬季オリンピックで多くの外国人が流入する2月がやってくる。

 このまま何年もロックダウンによるゼロコロナを行うのはマイナスだろう。ゼロコロナ対策が人口増48万人という未曾有の数字の原因かもしれないのだ。感染していたら閉じ込められるとなると誰もが妊娠忌避するだろう。

 

 2022年はスーパーパワーの二大国が経済的低迷と政治的な混迷に踏み込む年になるような予感というか、悪寒がしてならない。牽引者不在の国際情勢って想像したくない。

 

【2022年2月追記】

ロシア人口、21年は100万人減少」とロシアの人口減が報じられた。かつての強国も昔日の感がある。この国の人口減は2020年に始まっていたそうだ。もともとが総人口1.4億と日本人より1割程度しか多くない。広大な地域にロシア人と少数民族がすみわけした多民族国家だ。それでもこの有り様だ。

 北方領土を押さえていても住民減でこのテイタラクなら、あまり意味がないはずだ。

 

【参考文献】

 コロナ直前の予測が下記の本であるが、2021年以降はこの予測からどれだけずれるかが見どころになる。コロナによる下方側へのシフトなのだ。