サイエンスとサピエンス

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エネルギー消費の国家比較

 エネルギーの消費量を主要5カ国について比較してみる。五カ国とは、アメリカ、日本、中国、韓国とドイツです。とくにアメリカの後進性についての危惧感を書き留めたいのです。

2009年の年間石油消費量の対比から始めよう。一日に消費するバレルの表です。

人口を考慮しないと比較にはならない。見やすくするために日本を「1」とする。

 アメリカは、石油が右肩上がりになるという時代のとば口にありながら、日本の4倍、中国の2倍の石油消費をしている。人口あたりでみると日本の2倍弱、中国の10倍だ。ドイツは優秀で、人口あたりでも日本の8割程度となる。
 アメリカも新興国の中国も、おそらく石油の希少化=高騰により大きな痛手を被るであろう。なにしろメインの交通インフラがクルマとエアラインなのだ。
 2008年にUSの交通量が8%ダウンしたというニュースは世界同時不況と石油価格がどのようなダメージを与えるかを陽のもとに晒した。
 にもかかわらず、モーダルシフトアメリカに起きていない。普通のクルマも飛行機も石油を浪費する。あるいは非効率的な消費をする交通手段だ。だが、EVもHVも庶民に受け入れられていない。価格が高いのだ。そして、日本の軽自動車規格が存在しない。ジンジャーや電動自転車で州を移動できるとでも思っているのだろうか?
 もう一つ、アメリカの貿易赤字がダメ押しとなる。輸入される工業製品はバーチャル石油を含んでいる。つまりは貿易相手国の石油消費を製品のかたちでくわえ込む構造になるわけだ。
 主な輸入国は上からに"China", "Canada", "Mexico", "Japan", "Germany"となる。これらの国の石油由来製品を消費しているのだ。

 これからの石油のさらなる値上がりにアメリカ社会が耐えられるとでも思っているのだろうか?
 アメリカはなにをしているんだろう?

 早急な結論を出しておこう。
アメリカの若者ですらクルマ離れを起こしている。ネットだけで国をまとめ上げることはできない。人の交流が密であることが地理的な区切りがあることの大きな意味なのだ。すでに西海岸と東海岸は異なる価値観を持ち出している。
 どう見てもアメリカのインフラモデルは20世紀型のままであり、早晩国家の内部亀裂を招くことになる。