サイエンス・ニュースで木星の大赤斑がこの百年で大幅に縮小したと報じていた。ナショジオのサイトに写真がある。
その大きさは約40,000km × 14,000kmであり、横幅が地球3個分であった。地上の望遠鏡からも観測可能な大きさだ。
それが地球1個分までシュリンクしたというのだ。19世紀後半に発見されてから、21世紀前半の今日(4月のハッブル宇宙望遠鏡観測結果)までに起きた惑星気象学上の一大規模な観測事象といえる。
大赤斑は巨大な暴風の渦であるが、ハリケーンや台風と異なり、高気圧の渦である。
何百年も吹き荒れる地球大の嵐。それだけで圧倒される。
これを荘子が聞いたら、喜ぶだろう。
『荘子』の内篇の「逍遥游篇」にいう。
窮髪の地の北に、冥海なるもの有り、天池なり。魚有り、その広さ数千里、未だその脩(なが)さを知る者あらず。その名を魚昆(コン)と為す。
に始まる節がある。こうしら巨大な魚と巨大な鳥がいる極北の地の話を聞いた、うずらがあまりのことにせせら笑うことしか出来ないというのだ。
うずらとは地上に這いつくばる人どもであり、矮小なことに関わりあいながらその日その日を生きている。莊子の寓話の言わんとするのはあまりにも明らかだ。
たまに、大赤斑のニュースを聞くと、とんでもないスケールの話だ、と首をふりふり呆れながら、再び、その矮小な日常に埋没してゆくほかないのだ。それが当たり前になっている。
目の前のことにアクセクして想像力すらも萎えているのが文明人なのだろう。しかも、ネットなどにアクセスし情報交換&電子井戸端談義にうつつを抜かすより卑小な精神に成り果てているだろう。
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NASAの「Great red spot」の説明映像