上田進の本から抜いてきた中国での最新の歴史人口学の成果だ。
その長大なる2000年の歴史を通じて人口をなんとか再現できる、唯一にして最長の民族であることがこの推測統計の成果をなさしめた。
統計学者の竹内啓はその有終の美を飾る歴史展望の書『歴史と統計学』で、その同じ研究を下記のように要約してみせた。
・年7-10%という平均人口増加率がしばらく続く。それは農業生産の伸びを上回る
・そして、直後に人口が激減する大動乱期が訪れる
・にも関わらず、中国社会は再生する
社会的歪みが大きな変動によって破壊され、是正される。それが2000年の歴史の教訓であるといえる。
最近の習近平政権の動きは経済成長に制動をかけて、格差是正に本腰を入れ始めた観がある。それは合理的な景気引き締めなのか、毛沢東路線への回帰となるのか、見極めが必要である。
先輩の共産主義国であったソ連は70年程度で瓦解した(1922-1991)。東欧諸国もそれにならった。1949年建国の中華人民共和国は70年を超えて存続しているが、その余命は誰も知らない。ソ連の瓦解の要因は経済の停滞であり、もう一つは官僚主義であった。中国は前者は鄧小平路線により潜り抜けるのに成功したが、後者は健在だ。
この30年の顕著な経済成長=人口成長の状況を鑑みて、中国の指導層は歴史は繰り返すのを恐れているのかもしれない。
【参考文献】
しかし、中国史の変動の荒波を回避しようと安定化を図りだしたのかもしれない。