サイエンスとサピエンス

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コロナ(covid-19)とスペイン風邪の比較

 マルクスは『歴史は繰り返す。最初は悲劇だが、二番目はバロディとして』といった。これはフランス史でのナポレオン三世の台頭についての政治的発言だ。

 日本の漫画『ルパン三世』については至言であろうが、今次のコロナについて当たっているわけでもないだろう。

 20世紀初頭のスペイン風邪が今回のパンデミックと比較される。

推計では全世界で5億人が感染し、5000万人以上が犠牲になったとされている。

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 時系列的には1918年から1920年の間が、その感染期間とされている。三回のピークがあり、第二波が最大の死者数をもたらしている。現在も流行を繰り返すA型インフルエンザウイルス(H1N1亜型)の祖型であるとされる。コロナ型のウィルスではない。

 

 コロナに関して、ある程度振り返りが可能な時点にきている。

2019年3月の発生から2022年8月初旬にいたる、世界での死者数推移は下図だ。

 

 第一波は2020年4月、第二波は2021年1月、第三波は2022年2月あたりとしていいだろう。もっと細分化して、識別できるピークがあるのは確かだが。

 2022年8月で再び上昇の兆候はあるものの2020年4月から2022年3月までの高レベルに達する可能性は少ないだろう。2022年5月で生じた底は、おそらく集団免疫とワクチンの効果によるものであろう。感染力の強い変異種が出てきている8月の上昇はそれほどの爆発力はないといえる。

 こうしてみるとスペイン風邪とおおまかに似たような推移を示したと後世の歴史家は語るようになるかもしれない。

 つまり、ローマの歴史家のクルチュウス=ルーフスの名言、『歴史は繰り返す』というオリジナルを引用することになるだろう。

 2022年8月時点ではCOVID-19は6億人感染し、640万人が犠牲となっている。

 規模感ではスペイン風邪並みとなったしまった。たしかに、mRNAワクチンは素晴らしい技術である。にもかかわらず、21世紀になって衛生状態、栄養状態が改善し、医療技術が格段に進歩し、国際協力も緊密であると自負していたはずなのにこのような結果であるということは、現代文明の限界ということを再認識しておいたほうがいいだろう。