サイエンスとサピエンス

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中国大変調2 人民の不満の矛先は

 中国世論のニュースで『中国人の日本の印象「良くない」大幅増』が10/20に朝日新聞サイトで報じられた。どうも中国だけではないようで、5月のアウンコンサルティングの調査では「嫌われつつある日本と日本人、多くの国・地域で「嫌い+大嫌い」が増加」とされていた。

 別に東南アジア諸国などから「日本好き」が減少してもそれほど気に病む必要はないだろう。しかし、中国の世論は要注意だと思うのは自分だけでではないだろう。

なにしろ、中国政府は国民の反日感情を教唆しあおることで不満を解消してきた前科がある。2005年と2012年に反日運動が起きていることは記憶に新しい。

 

ja.wikipedia.org 

   

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 なぜ、いまさら過去の出来事をほじくり返したかというと、前のブログ「中国大変調」の向かう矛先の最右翼だからだ。

 電力と石炭不足で迎える冬、製造業の不調と物価上昇、不動産バブルの崩壊による株価乱高下、そしてコロナ完全制圧策によるロックダウン続発などによる先行き不安は、非難先を中国共産党には向け得ない。なぜならば、出版やテレビなどの言論メディアの統制どころではなくSNSという個人レベルの言論まで封じられているからだ。

 いや、単に封じられているどころではない!

 官製フェイクニュースと大量捏造SNSによるデマの出番である。デマのような素人仕事ではない。巧妙にして精巧なつくりの「疑似イベント」の製造と配信である。ブーアスティンの概念は蘇った。

この手段により反日感情をあおることほど容易な伝家の宝刀はないのだ。

 不正を働く敵を外部にうみだし、そこに不満の吐き出し口を誘導することなど、お手の物だろう。中国にとってデジタルで贋造されない出来事はないのだ。

 オーウェルすら予測しえなかった愚民化政策の実現が、目前に迫っているのではなかろうか? 

 煽りナショナリズムほど独裁政権にとって頼れる政策はない。

 それでも北京オリンピックという政治ページェントが控えているので、習政権は伝家の宝刀を抜くことはためらうかもしれない。

 

 

 

 

 

 「疑似イベント」は50年以上前の社会学者の用語だった。