サイエンスとサピエンス

気になるヒト、それに気なる科学情報の寄せ集め

2015-01-01から1年間の記事一覧

スズメの減少

スズメほど身近な野鳥も少ないのだが、愛鳥家で知られる中西悟堂の『雀の雑記帳』には2反ほどの畑に三百羽ほどの集団を見たと書いている。かつては雀の鳴き声でミチミチていた田園から集団は消え失せたように思う。 山階鳥類研究所の記事でもそのデータは参…

ある夢想 コンピュータとのコミュニケーションとしての人工言語

本日のたわいない夢想である。しかし、人類の情報系進化に関するアイデアの元ネタでもある。テーマは「コンピュータとのコミュニケーションとしての人工言語」だ。 コンピュータに直接、人間の要望/要求を伝える手法といっても「SIRI」のような音声認識と人…

グローバル化の帰結を探る

グローバル化とは世界が等し並になってゆく運動と言い換えてもいいだろう。 インターネットはもちろん、TPPなどの動きもその現れである。経済障壁を取り払い、観光ツーリズムで人の往来を奨励。英語がすべてのビジネス、交渉、アカデミックな活動のベースと…

南九州のスーパーボルケーノ

鬼界カルデラというのが大隅半島沖の50キロにある。これが今より7000年前に大噴火を起こした。九州一円の縄文文化はその災厄により滅びたというのが定説だ。おそらく日本列島にホモ・サピエンスが定住してから最大の噴火だったはずだ。 薩摩硫黄島を外…

軍事技術者アルキメデス

ドイツ軍の暗号エニグマ解読で活躍した数学者チューリングやロス・アラモスで原子爆弾製造に従事したオッペンハイマーなど多数の物理学者や化学者、工学者の存在は、よく知られている。 軍事科学に貢献する存在は20世紀に始まったわけでもなく、ナポレオン時…

集合知性と群体行動

アメリカはペンシルバニア大学のロボット学の教授 Vijay KumarのTED『Robots that fly...and cooperate』を観た。 流行りのドローンの紹介かと思っていると見事に裏切られる。一種の集団同期行動ができるようにプログラムされた自動運動ドローン集団の紹介な…

技術大国の歴史的要因 軍事技術の転用

戦後日本が経済成長を遂げた理由は単に商売熱心だったからではない。技術大国、それも民生用の技術大国に転身したためであることは反証の余地はないだろう。 その技術大国の大きな要素としては戦前戦中に培った軍事技術の蓄積と技術者たちの役割を無視するこ…

綺麗なトイレの示す日中共通な心性

中国人が日本の洗浄機付き便座を爆買するのをこれまた日本側が自慢げにネットで話題にする。ただし、多くの日本人は爆買には脅威と不安を感じているというのは否めない。 そうは言いつつ、クール・ジャパンで洗浄機付き便座を真っ先に取り上げたのは日本のマ…

HALの反乱理由を信頼性理論から考察する

SF映画史上の傑作の一つ『2001年宇宙の旅』での人工知能HAL9000の反乱については、いくつかの説がある。 例のモノリスに影響されて人類以上の存在になろうとしたとする誇大妄想狂仮説や青少年期にありがちな反抗期が嵩じてバット殺人のように父親殺しを演じ…

地球温暖化と大地震

ネパールでのマグニチュード7.9の大地震は「ハイドロアイソスタシー」仮説に再度、脚光を浴びさせるものだろう。 ヒマラヤ山塊の氷河の流出はメディアでも幾度となく報じられていたからだ。 以前、このブログでまとめたように21世紀になりマグニチュー…

最近の未来予測の特徴

1970年頃までの人類の未来像はどちらかというとバラ色とブルーが入り混じったものだった。バラ色というのは科学技術の発展が限りなく続き、空間的な制約を突破して太陽系を制覇するような極端な信頼感をテクノロジーに抱き、その一方で核戦争の悪夢はい…

タバコと肺がん論争からの疫学の発生

タバコのがん誘発は1950年台にはほぼ確実視されるようになっていた。しかし、それを「統計的」に証明するのは非常に困難だった。その上、タバコ業界の政治力はとてつもなく大きなものであった。 何かが病因であることを示すには、コッホの原則というものが19…

本格SFの凋落の危機

本格SFなるものは何か。古くはアシモフ、クラーク、ハインラインといえば何となく通じよう。壮大な未来史とか、銀河帝国とか、とんでもない大舞台での人間の活躍を痛快に描く。かといってスペース・オペラのように西部劇や戦争ものを宇宙に移し替えただけで…

Fermiパラドックスを解く新説

Fermiパラドックスは宇宙観測で他の知的生命体/文明らしきものが発見されないことの不思議さを指すと要約しておこう。 地球やその上で暮らす人類は、広い宇宙では特別な存在ではないという前提がある。コペルニクス以降、近代科学は人類が特別ではないこと…

著作権という呪術思考

TPPでは米国の圧力で著作権の延長が決まる勢いである。 いくつかの懸念を示しておいてから、著作権という名前の儀礼呪術について考えてみたい。 まず、懸念から。著作権者が生存している間の権利所有にはいささかの問題もない。問題は著作権者の死後、半世紀…

マレーシア機不明から1年

昨年3月に起きた航空機事故が一年が経過した。 『マレーシア機不明から1年』というNewsで思うのですが、この前代未聞の行方不明事故は、東南アジア上空の高層の気流が著しく乱れてきている、ことを示唆してはいまいか? 昨年、続いた日本での局所的な集中豪…

貨幣の本領

貨幣とは何か。マルクス『資本論』には価値交換の媒介としての貨幣が論じられているけれど、どうやら近頃は交換のために必需品が貨幣となった説は低迷しているようだ。 ファーネスというアメリカ人が20世紀初頭に太平洋のカロリン諸島の一つ、ヤップ島という…

人脈の科学者の血脈

社会ネットワーク分析という分野があって、グラフ理論やランダム行列など駆使して、人の関係を数理的に解明していた。 SNSの実データなどで十年前くらいから細々というわけでもないが、それなりの研究成果をあげてきた。まあ、しかし、その結果は「So What?…

今のところ不死身の数学者 R.K.Guy

英国の数論の専門家R.K.Guyは1916年9月30日生まれで本日(2015年2月28日)でも存命である。つまり、今のところ不死身の数学者になる。 これは日々の観測事実が「仮説:リチャード・ケネス・ガイは不死身である」を証明していることから、帰結する「科学的な…

人工知能との競争:消える職業

フリードマンが『フラット化する世界』で、「先進国」からインド人や中国人がシステムエンジニアやコールセンターの仕事を獲得してゆくと論じてから十年も立たないうちに、トレーダーや弁護士などの高度な知的職業を人工知能が奪い取る時代がやってきた。 弁…

腸内細菌と共生する私

マイクロバイオームとか腸内細菌叢とか、腸内フローラとかいうのが最近、目につく。 ここでマイクロバイオームはヒトを取巻く微生物の生態系である。 例えば2月22日放送予定のNHKスペシャル『腸内フローラ 解明!驚異の細菌パワー』では、こう紹介されている…

モノマネ技術大国日本へのサッチャーの批判的発言

30年以上も前の古い話で始まる。 1982年にサッチャー首相が来日してNHK番組に出演した。 その時の発言。 「日本のロボットエ場を見学してみてわかったのです が、その製品には何も偉大な新原理が存在するわけで はありません。機械的な原理やコンピュータ…

通商関係から見た国家クラスター

通商構造=貿易が国家間の関係をどのように示すであろうか? 情報は捨象することで本質を露わにすることもあろう。というわけで、各国家の貿易相手のシェアに注目して、表現してみた。 世界のGDP上位国を取り出し、各国の一番のシェアの輸出相手国を表現する…

古墳時代の鏡

古墳時代の鏡の造形の巧みさを観賞しよう。 対象となるのは「方格規矩獣文鏡」といい奈良県の新山古墳の出土のもの。29センチの直径である。保存状態はかなりいい。 画像処理で白黒化してエッジを強調する変換を行った。 生成された画像処理版がこちらだ。…