サイエンスとサピエンス

気になるヒト、それに気なる科学情報の寄せ集め

2016-01-01から1年間の記事一覧

元祖ブルーマン アメリカ元上院議員スタン・ジョーンズ

スタン・ジョーンズ氏(アメリカ民主党の元上院議員)Stan Jonesは、元祖ブルーマンとでもいうべき存在である。 銀沈着症=銀皮症(Argyria)という奇病に自ら羅患した。皮膚の色が青くなるのであります。銀沈着症は外観上の問題以外は深刻な症状はないとさ…

理系と文系の対比についてのメモ

日本特有の二分法として「理系」と「文系」の対比がある。人や専門の分類、学歴の区分、考え方やライフスタイルまで至るところに顔を覗かせる。 自分などが推測するに、その原点にはC.P.スノーの『2つの文化と科学革命』がある。20世紀半ばにイギリス人科学…

リチウムイオン二次電池の開発の小史

携帯電話やスマホの普及、それにノートPCなどで長寿命で安定したバッテリー(二次電池)が求められるようになっている。電気自動車もそれに続いて市場で売れだせば、二次電池の重要性はますます高まる。 再生可能エネルギーの最大の弱点をカバーするためにも…

ThinkPad X1 Carbon 使い心地

ノートPCというなかでのLenovo製品は独自の風格と伝統を持っていた。かつての「ThinkPAD」のブランド力であることは言うまでもない。 開発が移管されてから久しいが、山形県米沢市に生産拠点を移したモデルはそれとなく品質後光がさす。2016年になって、黒い…

温暖化で北極の観光開発

「カナダ北極圏「幻の航路」横断へ、豪華客船では初」 温かいコーヒーをすすりながら、ヌクヌクとヒータが効いたデッキで北極の氷山鑑賞か? これって、アマゾンの森林伐採と同じ価値観の持ち主がビジネス化を目論んでいるとして思えない。北氷洋という消え…

クマゼミのクマオン君の遺影

2016年の8月に活躍したクマゼミのクマオン君(諡名)の遺影であります。 頭部中央にある3つの赤いルビーの単眼がステキです。 クマオンの羽根の紋にはセンスの良さがありました。 そこで、川柳を一句。 クマゼミはいくら脱いでもセミヌード クマオンの本家…

洗浄便座の仏教的起源

クール・ジャパンの代表選手でもある洗浄便座は、曹洞宗にその起源がある。というのが本日の論点。 論拠は『正法眼蔵』の「洗浄」篇にある。「洗面」篇と対をなす、ある意味異質な修行論であもある。 道元の引用する典拠は『大比丘三千威儀経』の「浄身者、…

大地震の正の側面

大都会に住むものとして直下型地震に怯える一人であり、東日本大震災の被災者や過去もろもろの地震の犠牲者には哀悼を捧げる。 とは言え、天災のなくなることがない国土に永住する市民として、ネガティブな地震イメージだけを言挙げするのも業腹であります。…

なんでこんな古典まで訳してる? 科学史の名著

日本は翻訳大国である。 そうであったし、これからもあり続けてほしいものだ。 優秀な研究者がその専門性と現代的な知識でもって、科学史の古典を一般市民に紹介するのは、科学の裾野を拡げる意味でも、温故知新で過去の叡智から新たな発見を拾い出す意味で…

脳科学者の脳活動or「私」を考える脳の部位

社会科学でも本格的な脳科学化が進行中だ。それは当然そうなるだろう。脳活動を見える化(fMRIで可視化)することが手軽にできるのだ。自然科学的基礎づけを切望していた一部の社会科学者は飛びつくのはしごく当然だ。 また、人との関係でミラーニューロンが発…

恐るべし二酸化炭素の濃度上昇

2011年の大気での二酸化炭素濃度は390ppmだったはずだ。 それが7月20日に「CO2濃度、最高値更新…WMO「驚異的増加」」とのNews。 ハワイのマウナロア山で「407.7ppm」を観測したのだ。5年間で18ppmも上昇してる! 1ppm = 0.0001%な…

特許法 第32条の件

特許法の第32条は特許を受けることのできない発明を規定している。 通例は第32条というとアダルトグッズ法とか呼ばれ、 「公の秩序、善良の風俗又は公衆の衛生を害するおそれがあ. る発明については、第29条の規定にかかわらず、特許を受けることができない…

認知症に関する進化仮説と福祉政策

生殖年齢をとうに過ぎた高齢者が人類社会ではどうしてそれなりに大事にされてきたか。とくに伝統社会では「長老」として政治や司法の相談役などを割当られてられるばかりでなく、医療や教育にもあずかっていたはずだ。 人類社会の存続に必要であったからだ。…

どこよりも早く環境劣化の進む国 オーストラリア

核戦争後に生き残る国、かつてオーストラリアを舞台にした『渚にて』という作品があった。北半球で再び核戦争の危機が高まっている今、それは起こりえる現代文明の選択肢かもしれない。 水晶球のなかの不確実な未来を語るまえに、目睫の間にせまるオーストラ…

ダフニスとクロエ

前三世紀ごろから紀元一世紀までに、ギリシア文明に「小説」の始祖というべき物語群が生まれた。これらがヨーロッパ近代文学に流れ込んでゆくことになる。 現在までほぼ完全に伝承されているのは以下の五つである。1)カリトーン『カイレアースとカリロエー…

五界から三ドメインへ

生物の分類で、ついこないだまで定説であったのが「五界」説。 動物界、植物界、菌界、原生生物界、原核生物界(大腸菌やメタン生成菌などのバクテリア)から構成されているという学説で、ロバート・ホイタッカーとリン・マーギュリスにより基盤が据えられた…

ボーダレス・アートミュージアム NO-MA

近江八幡のアウトサイダーアート(outsiderart museum)の美術館「ボーダレス・アートミュージアム NO-MA」に行ってみた。 日本で十年以上の歴史をもつアウトサイダーアートの常設施設だ。 近江八幡駅からバスに乗ること20分ほどで美術館に到着する。バスの…

作業仮説 経済のグローバル化は産業により結果が異なる

「共有地の悲劇」はグローバル化による第一次産業のモデルではないかと予想される。ナショジオの「46カ国でサンゴ礁の大調査、意外な傾向が判明」からの思いつきだ。 地域に根ざしていない第一次産業はコストと効率優先で、モノカルチャーのような収奪活動化…

国際機関の所属から見たる緊密な国

国際機関というところのものは国連、ユネスコやFAO,WHOやらISO、BISなどからG20やG8などがある。これからの計算国家関係指数はこれらの国家機関所属の共通さから二国間の緊密性を計ろうというものである。 例えばである。日本は下記の国際機関に加盟している…

人口の近代史(改訂版)

20世紀というのは多事多難な時代でありながら、人類が地球規模で結合し均質化し、繁栄した世紀でもあった。 それを五大州別の人口という観点で考えてみよう。 具体的には、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、オセアニアでといった区分で19世紀から21…

近代世界の人口と人口密度の推移の比較

20世紀というのは多事多難な時代でありながら、人類が地球規模で結合し均質化し、繁栄した世紀でもあった。人口という観点で理解してみよう。 アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、オセアニアでといった区分で19世紀から21世紀の前半(予測値含む)まで…

祝! 113番元素 ニホニウム

ようやく念願かなって日本ゆかりの元素名誕生となった。慶賀すべきことだ。なもので、これまでの元素の発見国とその個数をまとめておこう。 先行者のメリット享受でイギリスが一番だ。ドイツやフランスやアメリカが上位なのはうなずけるとして、元素発見の国…

タックス・ヘイブンの国情比較

最近、話題のタックス・ヘイブン(Tax Havens)の国情を調べてみた。国際的に認められている税基準を約束したが、実施が十分でない国としてブラックリストにある国々だ。渦中のPanamaも含まれる。 人口、母国語、主要な宗教、通貨、一人当りGDP、日本=1と…

米国大統領選のマクロ経済予測

イェール大学の経済学者レイ・フェアの大統領と議員選のマクロ経済モデルというものが知られている。 大統領選モデルは単純な構造ながら、最近の13回中10回的中という実績をもつ。選挙前の実質GDP成長率、現職大統領の任期中のインフレ率などとった観測可能…

和算家たちの本業

和算は江戸文化の精華であります。身分を問わず和風解析的な幾何に多くの人びとが打ち込んだ、その姿勢と文化は同時代的にみても西洋諸国に比肩する、もしかすると和風な数学普及率では西洋諸国を上回る状況だったかもしれません。寺子屋では庶民が読み書き…

殺人件数のグローバル地理的分布

2014年の殺人件数/年の統計情報を世界地図に投影してみよう。 10万任あたりの件数が1件以下の国々はグリーンにしたのが下記地図になるが、ある偏りが見て取れる。 端的にいえば、西ヨーロッパと東アジアとオセアニアが殺人件数が少ない。 それに対して、殺…

消えゆく巨樹の姿からの温暖化随想

愛知県の津島市の中心にある牛頭天王社の山門前の巨大なイチョウ。ご神木である。 力ある枝ぶりとしめ縄がもっさりとして横綱のようだ。ご近所には大ムクもある。 農耕文化がスタートしてから人類は着実に樹木を刈りたててきた。アジア史家といってもいい宮…

科学実写映画の古典:1940年の高速度撮影

1940年の高速度撮影。 MITのエジャートンによるストロボ撮影。短編実写部門でアカデミー賞を受賞した。21世紀ではもはや科学ドキュメンタリでアカデミー賞なんてなだろうなあ。 流れ――自然が創り出す美しいパターン2 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)作者: …

記憶術とハードディスク

フランセ・イェーツを紐解くと西洋の記憶術の歴史の深みが顕になってくる。シモニデスの記憶術はギリシアの詩人が如何にして事故で亡くなった人びとの遺体を記憶で識別するかという痛ましいエピソードでもある。故人を最後に見た場所がその識別の鍵となる。 …

モルディブの環境問題をGoogleMapで観る

インド洋に浮かぶ神々のネックレスのような島嶼、それがモルディブだ。1200もの島からなり、その多くは珊瑚礁に囲まれている。洋上のコテージからはコバルトブルーの海が視野いっぱいに拡がる。年間100万人の海外観光客を呼び寄せる超人気リゾートとなってい…